| 1-1■ クマが空から降ってきた ■ |
| その日はとても初夏らしい、いいお天気でした。
見上げるとケヤキの新芽の間から見える陽の光がキラキラと宝石のようです。 ぽっかり浮かんだ白い雲がゆっくりゆっくり流れていました。 学校帰りの私は、そんなに気持ちがいい午後だというのに、なんだかとてもつまらない気分でいっぱいでした。中学の授業が始まったばかりなのに、期待していた英語の授業があまりおもしろくなかったからなのです。 中学に上がる前、私はこれから始まる英語の授業にとても期待していました。 「中学で習う英語は、挨拶とか、日常的なことから始まるんだろうな。きっと中学卒業する頃には英語がペラペラ話せるようになれるんだ。『ハーイ、ジョーン』とかなんとか言っちゃって...それから、英語の歌なんかもわかっちゃって、洋画も字幕なしで見れるようになるかも」 と本気で考えていたのです。
そうそう、この間お兄ちゃんに、『ねぇ、「図書館に行ってきた」って英語で言いたいんだけど、こういう表現っていつごろ教わるの?』って聞いたら、『中3になってからだよ』なんて言うの。『図書館に行ってきた』よ!こんな簡単な表現でさえ、あと2年も待たなきゃならないなんていったら、日常会話なんて何年先になるかわかったもんじゃないわ。まったくどういうことよ。もー」
ひとりぶつぶつとそんな事を言いながら、いつも道草する原っぱに出ると、上の方から声が聞こえてきたのです。
私はドキドキしました。なんなんでしょう、この人形は。
あっけにとられていると、人形がまた口をききました。
ドキドキしながらも、私はこれ以上勉強することが増えるなんてとんでもないと思い、クマの人形に言い返しました。ワタシ、すっごく勉強きらいなんです。
私は本当に混乱してきました。 なんだってこういうときに親友のヤヨイとかアスカがいないんでしょう。ああ、さっき、商店街の角で二人とは別れたのでした。 |